2005年04月21日

ストリートオブクロコダイル

530c8bea.JPG「ストリートオブクロコダイル」人形アニメ作家 クエイ兄弟の作品。 ポーランドのブルーノ・シュルツ「大鰐通り」が原作。 
最初に見たのは1985年くらいだったか映画館。 初めて見るその非現実空間に簡単に引き込まれちゃった。 まず映像美、横溝の犬神家とかあの一連の映画の一場面とかで 閉め切った黒い格子の障子を通す光だけの仄暗い部屋で 深紅の鮮血が障子紙に飛び散る場面とか 理由無しに映像的色的に美しいと感じる、それと同じような種類のもの。 クエイの作る人形、廃墟、工場廃棄物的無機物のなかにまぎれる肉片と水分とかすかな生命反応、流れる時間軸上には退廃 崩壊が待つのみで 未来は微塵も感じられない。 忘れられないものになってLDを持ち去年DVDも入手。 人形たち、クエイ兄弟の細かい人形の動作表情で 眼の入ってないビスクドール素焼き頭の彼等にさえ情が湧いてくる。 「生きる」という上で、存在を知りつつ目を背けてる混沌で醜悪で雑多なもの、それらが形成する世界がこの空間なのだと思う、陽の先の影 綺麗事のしわ寄せ 強者と弱者 コンプレックス...確実に息づくそれらの存在 しかし目を背けられる悲しさ...いろいろな解釈はあるかもしれないけど私はそんな感じで見てる。忘れ去ろうとしてごめんねって抱きしめたくなる気持ち と それらを目のあたりに突き出されて官能的。

他にも一度貸したこともあるけどノーコメントで返ってきたし、親からも上映ストップかかるし、なんだかわかんないし気持ち悪いよ っていうのが普通(?)の感想なんだろうなって思う、みのもんたばりに 溜めて溜めきって「正解!」と言ってあげたい。
だけど 抜け出せなく引き込まれちゃった私にとっては 扉を閉め切って外界から置き去りにされた部屋での秘かな愉しみなのであります。。。(病)


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この記事へのコメント
もしかして、実写と人形アニメのチェコ映画「アリス」もお好きかしら?
Posted by ほ at 2005年04月22日 00:17
クエイ兄弟のお師匠さんのヤン・シュヴァンクマイエルの作品ですね。 前から見たかったものですがみてません。 ことしのはじめくらいにDVDがでるらしいということ、すっかり忘れていました、思い出させてもらっちゃった。 ちょっと探してみまーす。
Posted by roco at 2005年04月23日 19:31